5Sルールとは、整理・整頓・清掃・清潔・しつけを職場に定着させるための行動基準です。
多くの会社で5Sが続かない原因は「ルールがあいまいなまま」になっていることにあります。
本記事では、5Sルールの意味と必要性から、具体的なルール例(保管年数・在庫管理・清掃基準など)、作り方と運用のステップ、工場・倉庫・介護・オフィスなど業種別の活用法まで解説します。さらに「社員がルールを守らないときの対策」「新入社員や派遣社員への浸透のコツ」といったFAQにも答えます。
「守らせるルール」から「自然に守れるルール」へ。
仕組み化と習慣化によって、5Sは単なる片づけではなく、職場を安全・効率的・快適に変える文化改革の基盤になります。
👉 5Sとは?職場改善の基本を徹底解説!目的・進め方・成功事例をわかりやすく紹介
もくじ
5Sルールとは何か
5S活動における「ルール」とは、単なる規則ではなく 整理・整頓・清掃・清潔・しつけを職場に手一着させるための“行動基準” のことです。
多くの会社で5Sが形骸化したり、長続きしないのは、実は「ルールが決まっていないから」なのです。
ルールが曖昧な時に起こる問題
- 整理の場合
不要品を捨てる基準がなければ、「いつか使うかも」と保管が続き、気づけば倉庫や机がいっぱいに。探し物が増え、スペースも失われ、生産性が落ちます。 - 整頓の場合
置き場所を「なんとなく」で決めてしまうと、人によって戻す場所や置き方が違い、「物が戻ってこない」「在庫が余る・足りない」といった混乱を招きます。 - 清掃の場合
「どこを・誰が・どの程度まで掃除するか」を明確にしないと、人によって基準がバラバラになり、継続できません。
このように、ルールがなければ整理・整頓・清掃はすぐに崩れてしまいます。だからこそ 5S活動の多くは“ルールを決める作業”そのもの だと言えます。
仕組みづくりとしてのルール
5Sルールの本質は「人を責めるため」ではなく、誰でも自然に守れる仕組みをつくることにあります。
- 物の処分基準や保管年数を明確にする
- 定位置・定量を決めて標示する
- 清掃基準を数値化して共有する
こうした仕組みが標準化され、全員が習慣的に守れるようになったとき、5Sの最終ステップ「しつけ」に到達します。
基本の5Sルール例(10選)
5S活動を実際に運用していくうえで、現場ですぐに使える「基本ルール」のひな型をまとめました。職場ごとにカスタマイズすることを前提に、シンプルで守れる形にするのがポイントです。
1. 整理ルール
1. 保管年数を明確化:「書類は3年」「備品は2年使わなければ処分」など、基準を数字で決める。
2. 赤札ルール:半年以上使っていない物には赤札を貼り、処分期限と責任者を明記する。
2. 整頓ルール
3. 定位置・定方向:すべての物に住所を決め、置く方向も指定。使う人によって違わないようにする。
4. 定量管理:在庫は「1か月分以内」を目安とし、余剰や欠品を防ぐ。
5. 標示・色分け:誰でも一目で分かるように、ラベル・写真・色分けで見える化する。
3. 清掃ルール
6. 毎日の清掃タイム:1日10分、終業時や始業前に実施する。
7. 担当区分の明確化:「誰が・どこを・どの道具で・どの程度まで」掃除するかを明記する。
4. 清潔ルール
8. チェックシート運用:整理・整頓・清掃が維持されているかを定期的に点検し、全員で改善する。
9. 見直し周期を設定:半年ごとにルールを見直し、現場に合わなくなったルールは改善する。
5. しつけルール
10. 習慣化の仕組み:小さな行動(例:昼休み後30秒整理)を繰り返し、自然にできる状態を目指す。
5Sルールの作り方と運用ステップ
5Sルールをつくるときに最も大切なのは、現場の人が主体となって話し合い、合意して決めることです。上から押し付けられたルールは形だけで終わりがちですが、自分たちで決めたルールは守ろうという意識につながります。
ステップ1:目的を共有する
- まず「安全・効率・快適な職場づくり」という5Sの目的を全員で確認。
- ルールは「やらされ感」ではなく「働きやすさのため」にあることを理解します。
👉 5S活動の目的とは|安全・効率・快適、そして躾で職場を変える
ステップ2:モノごとにルールを決める
- 整理:処分基準(保管年数、使用頻度)を数字で明示。
- 整頓:定位置・定方向・定量を設定。
- 清掃:掃除範囲・頻度・基準を決める。
- 「全てのモノにルールを決める」という積み重ねが、職場の効率を少しずつ確実に高めます。
ステップ3:見える化する
- 決めたルールは朝礼やミーティング・掲示板・各所への表示などで全員に共有。
- 5S専用の掲示板を設け、活動内容や改善事例を継続的に周知すると効果的です。
ステップ4:運用と改善のサイクル
- 一度決めたルールでも、運用してみると機能しないケースが出てきます。
- その場合は もう一度話し合い、改善する。これを繰り返すことが5Sの本質です。
- 月1回の点検や小集団活動で、改善提案を出し合いましょう。
ステップ5:習慣化・標準化する
- 決めたルールが自然に守られる仕組みを作ることが最終段階。
- チェックリストや監査を活用して「標準化」し、無意識に実行できる「しつけ」の状態へつなげ
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業種別の5Sルール活用例
5Sルールは製造業に限らず、あらゆる職場に応用できます。ここでは代表的な業種ごとに、どのようなルールが効果的かを紹介します。
工場・製造業
- 工具・治具の定位置管理:「誰が使っても必ず元の場所に戻す」ルールを徹底。形跡管理(シルエット管理)を活用すると効果的。
- 赤札ルール:長期間使っていない治具・部品には赤札をつけ、処分期限を決める。
- 発注カード方式:消耗品の最小在庫数・発注数を明確にし、誰でも発注できる仕組みをルール化。
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倉庫・物流
- ロケーション番号ルール:棚やエリアに番号を振り、物品の住所を明確にする。
- 適正在庫ルール:在庫は「1か月分以内」を目安とし、数量基準を決めて余剰在庫や欠品を防ぐ。
- 余剰品置き場のルール:現場に置かない物は一括管理し、探す時間をなくす。
介護・医療
- 薬品管理ルール:使用期限・ラベル色分けを徹底し、誤投薬を防ぐ。
- 清掃基準ルール:「手すりは1日1回」「床は1日2回」など数値で明示。
- 記録・書類ルール:カルテや報告書は保管年数を決め、デジタル化を進める。
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オフィス・事務所
- 書類保管ルール:「3年経過で廃棄」「スキャン後に処分」など基準を明示。
- データ整理ルール:フォルダ階層・命名規則を統一し、誰でも探せる状態にする。
- デスクトップ整理ルール:PCのデスクトップアイコンは1列以内、不要なショートカットは削除。
ルールを「守らせる」から「守れる」へ
5S活動でつくったルールは、ただ掲げるだけでは定着しません。大切なのは「守らせるルール」ではなく、自然に守れる仕組みをつくることです。
守らせるルールの限界
- トップダウンで押し付けられたルールは「やらされ感」が強く、形骸化しやすい。
- 違反が出ても「個人の怠慢」として叱責するだけでは、職場の雰囲気を悪化させる。
守れるルールの条件
- 現場主体で決める:利用者全員が話し合って合意したルールは守られやすい。
- シンプルで分かりやすい:誰でも一目で理解でき、行動に移せる。
- 見える化:掲示板や標示、色分け、写真などで直感的に分かる形にする。
- 改善サイクル:運用してうまくいかない時は、再度話し合ってルールを見直す。
習慣化への工夫
- 小さな行動から始める:「昼休み後30秒だけ整理」「退社前に机の上を空にする」などハードルを下げる。
- 頻度を高める:簡単な行動を毎日繰り返すことで、脳が「いつものこと」と認識する。
- 点検と改善:月1回の小集団活動やパトロールを通じ、習慣が形骸化していないかを確認する。
人を責めず仕組みを見直す
- ルール違反が出たら「誰が悪いか」ではなく「なぜ守れなかったか」を分析。
- 置き場所が遠い、表示が見えにくい、ルールが複雑すぎるなど、仕組み側の改善点を探す。
- この姿勢が社員の信頼を生み、継続的な改善文化へとつながる。
まとめ
「守らせるルール」ではなく「守れるルール」をつくることが、5Sを習慣化させ、最終段階の「しつけ」につなげるカギです。仕組みと風土を整えることで、社員は自然とルールを守るようになり、組織は強い改善文化を育んでいきます。
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FAQ(よくある質問)
Q. どのように保管年数や処分基準を決めればよいですか?
曖昧さをなくし、「書類は3年で廃棄」「備品は1年未使用で処分」といった数字で明確に決めるのが効果的です。
Q. ルールを決めても社員が守ってくれない時、どうすればいいですか?
人を責めるのではなく、置き場所や表示など「守りにくい仕組み」を見直すことが定着につながります。
Q. 整理・整頓・清掃のルールはどう決めればいいですか?
それぞれ「保管年数」「定位置・定方向・定量」「誰がどこをどの程度まで清掃するか」を具体的に数値化するのが基本です。
Q. 消耗品の在庫ルール(適正量)はどうやって算出すればよいですか?
1か月の使用量を調べ、発注から納品までのリードタイムを加味して最小在庫を設定すると、過不足を防げます。
Q. 「大掃除」をやめて日常清掃に切り替えるには、どんなルールが必要ですか?
毎日10分でも全員で清掃する仕組みをつくり、担当や範囲を見える化すれば、大掃除は不要になります。
Q. 新入社員や派遣社員にルールを浸透させるコツは?
写真や色分けなどで直感的に分かる表示にし、初日から一緒に実践して体験で覚えてもらうのが効果的です。
まとめ
5S活動におけるルールづくりは、単なる決まりごとではなく、職場を安全・効率的・快適にするための“行動基準”です。
整理・整頓・清掃のルールを明確にし、数字や基準で見える化することで、誰でも判断できる仕組みが整います。
ルールは一度決めて終わりではなく、運用しながら改善を重ねることで、現場に根づき、やがては習慣となります。
「守らせる」から「自然に守れる」状態へ移行することで、社員の主体性が育ち、企業文化そのものを変えていきます。