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5S計画表の作り方|目標設定から記録・発表・プレゼン資料まで徹底解説

5S計画表の作り方_アイキャッチ

5S活動を始めても、「やりっぱなしで続かない」「計画が形だけで終わっている」という声をよく耳にします。現場任せのままでは改善が属人的になり、せっかくの取り組みが定着しません。

計画が曖昧なままでは、成果も評価も見えにくく、活動そのものが形骸化してしまいます。これでは安全性や効率、快適さといった本来の目的も達成できません。

そこで本記事では、5S活動を継続させるカギとなる 「5S計画表」 の作り方を中心に解説します。目標の立て方から、記録の残し方、発表による全社共有まで、実務で使える流れを具体的に紹介します。

5Sの基礎や各ステップの詳しい意味については、こちらの記事をご覧ください。
👉 5S活動とは?基本と効果を解説 

5Sの目標を立てる:計画表の前に“ゴール”を決める

目的を明確にする

5S活動は「片付け活動」ではなく、職場を安全に・効率的に・快適にするための活動です。

その前提の上で、5Sを使って自分たちの職場をどうしたいかを、現場のメンバーで話し合い、具体的な目標として描くことです。目的が曖昧だったり、目的を考えるときに関わっていないと、活動が「やらされ感」になり、効果が半減してしまいます。

👉 「5S活動の目的」の詳細はこちら

ビジョンとスローガンを作る

目標が見えてきたらビジョンとスローガンに落とし込みましょう。

ビジョンを描く

5S活動の出発点は、「この職場を将来どうしたいのか」という長期的な未来像を共有することです。ビジョンは会社全体で一つに定め、全員が同じ方向を向けるようにしましょう。

例:

  • 「5Sでルールを守り、思いやりのある職場へ」
  • 「整理整頓が行き届き、誰もが安心して働ける現場へ」

スローガンを決める。

その年に必ず実践する具体的な行動目標を決めましょう。スローガンは単なる掛け声ではなく、目標を具体的な行動に落とし込むツールです。部署ごとに数値で測れる形にしましょう。

  • 「生産金額を毎月100%達成する」
  • 「残業時間20%削減」
  • 「常に床を汚れゼロにしよう」

スローガンの作り方はこちら

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こうして「目的 → 職場ごとの目標 → ビジョン~スローガン」の順に整理することで、チームが同じ方向を向き、後に作る計画表との一貫性が生まれます。

5S計画表を作る:活動を見える化する第一歩

目標を立てたら、それを実現するための道筋を「計画表」に落とし込むことが大切です。計画表があることで「誰が・いつ・どこで・何をするのか」が明確になり、活動が継続しやすくなります。

計画表を作る目的

  • 活動の進捗を「見える化」して、やりっぱなしを防ぐ
  • 担当や期限を明確にし、責任の所在を共有する
  • 改善活動を記録に残し、振り返りや報告に使えるようにする

中長期計画と短期計画の二層で設計

5S計画表は、「中長期」と「短期」の二層で設計するのが効果的です。

中長期計画(1年)

中長期計画では、整理 → 整頓 → 清掃 の順番に沿って、大まかにスケジュール化します。

5S活動の年間予定表

たとえば「Aラインは○月から○月までは整理」といった形で、エリアごとに時期を区切って設定しておくと進めやすくなります。

この計画は一度決めたら終わりではなく、毎月の話し合いの場で進捗を確認し、ズレが出てきたらその都度修正することが大切です。状況の変化に合わせて柔軟に見直すことで、実行可能な計画として機能し続けます。

短期計画(1か月)

中長期の方向性を決めたら、次は1か月ごとの実行計画に落とし込みます。

その際に重要なのが、まず現場をパトロールして問題点を洗い出すことです。
パトロールを通じて「どこにムダがあるか」「安全面で危険がないか」を確認してから計画に落とし込むと、より実効性の高い計画になります。

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5sパトロール_アイキャッチ
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下のような「月間予定表」を使うと、実施場所や作業内容が一目でわかり、進捗管理がしやすくなります。

5S活動の月間予定表

この表では、整理・整頓・清掃の3つのステップを軸に、各エリアごとの予定と実施状況を記録しています。

  • 実施場所:対象エリアを明確にします。
  • 予定日/実施日・状況:進捗がズレていないかを確認できます。
  • 整理・整頓・清掃の区分:それぞれの活動に対して、計画内容と実施内容を記録。

この形式を使うと、「計画どおりに進んでいるか」「未着手の場所はどこか」「実施したのは誰か」が一覧で把握できます。毎月の5Sミーティングで確認し、未実施や改善点があればその場で次月に反映できる仕組みです。

 

 

記録:成果を振り返り次につなげる

このような改善記録シートを使うと、活動の内容と成果を一目で共有できるようになります。各項目にはそれぞれ意味があり、振り返りや発表の際に役立ちます。

5s活動報告書フォーマット

  • 改善内容
    何に取り組んだのかを簡潔に記載します。活動のテーマや課題を端的に示すことで、記録を見返した際にすぐに内容がわかります。
  • 活動日時・人数・合計時間
    「いつ・誰が・どれくらいの時間をかけて」行ったのかを記録します。活動量の把握や、コスト意識を持つために重要です。
  • 改善前/改善後の写真
    Before/Afterの変化を視覚的に示す項目です。写真があると、改善効果が一目で伝わり、報告書やプレゼンでも説得力が増します。
  • 問題点
    改善前にどんな課題があったのかを明記します。背景を共有することで、なぜその改善が必要だったのかが理解しやすくなります。
  • 改善策
    どのような方法で改善したかを具体的に記録します。再現性のあるやり方として残せば、別の部署や次回の活動にも応用できます。
  • 効果(時間的・定量的な成果)
    改善によって得られた成果を数値や状態で表現します。時間短縮やコスト削減など、目に見える効果を示すことで活動の価値が伝わります。
  • 費用/ゴミの量
    改善にかかった費用や、削減できたゴミの量を記録する項目です。コストをかけずに改善できたことや、環境面での効果もアピールできます。

このように項目を整理すると、「なぜ・どうやって・どのくらい効果があったか」までを一枚で伝えられるのが大きな特徴です。

さらに、この記録はそのまま「振り返り」や「報告書」の素材として活用できます。
👉 詳しくは 5S活動の振り返りと報告書の作り方
で解説しています。

発表:報告書とプレゼン資料で成果を伝える

5S活動では、実行や記録だけでなく、発表の場を設けることがとても大切です。単に報告するだけでなく、活動をさらに活性化させる仕組みとして機能します。

発表の目的

  • 成果やアイデアを全社に共有する
    他部署への刺激となり、良い取り組みが横展開されます。
  • 成果が認められることでモチベーションが上がる
    努力が評価されることで、次の活動への意欲が高まります。
  • 発表の機会そのものが学びになる
    プレゼンの練習になり、伝える力や資料づくりのスキルが磨かれます。
  • 刺激と競争意識を生む
    発表の場では、頑張っているチームとそうでないチームの差が明確に表れます。それを見たチームが「自分たちももっとやらなければ」と奮起する効果があります。

報告書と発表に盛り込む内容

発表で使う報告書・プレゼン資料には、これまでの活動を体系的にまとめると効果的です。

  • ビジョンとスローガン(活動の原点と合言葉)
  • 長期計画と月間計画(どのように進めてきたか)
  • 改善の記録(写真・コメント・効果)
  • 1か月の振り返り(うまくいった点/課題)
  • 次に挑戦したいこと(今後の改善テーマやアイデア)

これらを整理して発表することで、「過去の活動を振り返り、未来への行動につなげる」ことができます。

プレゼン資料(パワーポイント)の活用

報告の形式は書面でも可能ですが、パワーポイントのようなスライド資料を使うと、写真やグラフで成果を直感的に伝えられます。特にBefore/Afterの写真や改善効果のグラフは、短時間でインパクトを与えるのに有効です。


このように「発表」は、活動を可視化して全社に広げる役割を果たすと同時に、現場メンバー自身の成長の機会にもなります。

 FAQ: 5S計画に関するよくある質問

Q. 5S計画表はどのように作ればよいですか?

年間の大まかな流れ(整理→整頓→清掃)と、月ごとの具体的な行動を二層で設計します。誰が・いつ・どこで・何をするかを明確に書き出すのが基本です。

Q. 5S計画表はデータと紙、どちらで管理するのがよいですか?

5S的にはデジタル化推奨です。クラウドで共有すれば進捗管理や記録の蓄積が容易になり、全員でリアルタイムに確認できます。

Q. 5S活動の成果はどのように記録すればよいですか?

Before/Afterの写真と簡単なコメントを残すのが基本です。改善記録シートにまとめると、効果や取り組みの背景も一目で伝わります。

Q. 5S報告書にはどのような内容を盛り込むと効果的ですか?

5Sで実現したい目標やスローガン、計画表の内容、改善の記録、振り返りと次の課題をまとめると効果的です。写真や数値を加えると説得力が増します。

Q. 5S発表はパワーポイント資料で行うべきですか?

形式に決まりはありませんが、スライド形式でまとめると写真やグラフを活かせるため、短時間でも伝わりやすくなります。

Q. 5S活動の発表は誰が担当するのがよいですか?

取りまとめ役のチームリーダーが適任です。メンバーが持ち回りで担当すると全員の意識向上につながります。

Q. 5S発表の頻度はどのくらいが理想ですか?

可能な限り毎月が理想です。定期的な発表が活動のモチベーション維持と改善の加速につながります。

まとめ

5S活動を現場に根づかせるには、単発の取り組みで終わらせず、目標から発表までの流れをサイクルとして回し続けることが大切です。

  • 目標を明確にする:5Sの目的(安全・効率・快適)を踏まえ、職場ごとのゴールを設定する
  • 計画表で見える化する:中長期と月間の二層で管理し、進捗を共有する
  • 記録を残す:写真や改善記録シートで成果を蓄積する
  • 発表する:報告書やプレゼン資料で全社に共有し、活動を活性化する

まずは、来月の「5S計画表」を一枚作成してみてください。

さらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事もあわせてご覧ください。

👉 5S活動の振り返りと報告書の作り方
👉 5Sパトロールの目的とやり方

 

  • この記事を書いた人

上石 政代(Smile System Support 代表)

5S活動の社内定着を支援するコンサルタント・講師。
これまでに医療・介護・製造業などの現場でのべ1000名以上に研修・講演を実施し、5Sを“現場文化として根づかせる”実践支援を行っている。
現在までに、5Sによる組織風土改善支援に携わった企業は100社を超える。
Smile System Support代表・上石政代について

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