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【2代目社長の必須スキル】会社を潰さないための「決断力・行動力」の磨き方

【2代目社長の必須スキル】会社を潰さないための「決断力・行動力」の磨き方

今回は、多くの後継者・2代目経営者様とお会いする中で感じる「会社を成長させる社長と、衰退させてしまう社長の違い」について。

そして「2代目社長が今すぐ養うべき2つの力」というテーマでお伝えします。

 

弊社スマイルシステムサポートは「5S研修」という事業を通じて、日々多くの経営者の方と接しています。特に事業承継をされた2代目経営者様とお仕事をさせていただく機会が多くあります。

その中で、「この先、この会社は大丈夫だろうか…」と少し心配になってしまう2代目社長には、共通して不足している要素があります。

それが「判断力」「行動力」です。

会社を危険にさらす「先送り」の習慣

例えば、社員から素晴らしいアイデアが出たとします。経営者自身も「それは良い!」と賛同した案件。
しかし、「じゃあ、また来月の会議で深掘りしようか」「一度持ち帰って検討するよ」という具合に、即決できずに先送りにしてしまうことはありませんか?

そして時間が経ち、結局その提案がどうなったのか誰もわからなくなっている…といったケースです。

こうなると、社員はどう感じるでしょうか。
「せっかく良い提案をしたのに、社長はやる気がない」「言ってもムダだ」
そう感じた優秀な社員は、次第に提案することをやめ、考えることを放棄してしまいます。

これは単なるコミュニケーション不足ではありません。会社を大きく発展させたかもしれないアイデアや、売上アップのチャンスを自らドブに捨てているのと同じです。

メールのレスポンスが遅い、日程調整一つに時間がかかるなど、些細なことでもズルズルと決断を先延ばしにする。
こうした「判断力・行動力」の欠如は、変化の激しい現代において、会社の存続を脅かす致命的なリスクとなります。

逆に、社員の提案に対して「よし、やろう!」「来週からスタートして!」と即座に言える社長の下では、社員のモチベーションが上がり、組織全体が活性化していきます。

なぜ、2代目経営者は「判断・行動」が鈍るのか?

2代目経営者の抱えるストレス

創業社長に比べ、引き継いだ2代目社長は、この判断力・行動力が慎重になりすぎる(弱くなる)傾向があります。
その背景には、大きく2つの心理的な壁があります。

1. 「失敗への恐怖」とプレッシャー

自分がゼロから立ち上げたわけではなく、先代が築き上げた「完成された城」を引き継ぐため、「絶対に潰してはいけない」という強烈なプレッシャーがあります。
これにより、新しい挑戦や変化を恐れ、無意識に「現状維持」を選んでしまいがちです。

しかし、現状維持は、変化のスピードが速い現代において「衰退」と同義です。
先代のやり方に固執していては、時代に取り残されます。

この恐怖を乗り越えるために必要なのは、「最悪のシナリオ(リスク)の計算」です。
「もし失敗したらどうなるか?」「どこまでの損失なら許容できるか?」を具体的な数字で明確にすること。撤退ラインさえ決めておけば、恐怖心に縛られず、果敢に挑戦できるようになります。

2. 「変なプライド」と抱え込み

もう一つは、自分の能力や実績に対する過信、あるいは「自分を通さないと気が済まない」というプライドです。
「社長である自分がすべて把握し、決定しなければならない」と思い込むと、権限委譲(任せること)ができなくなります。

社長のキャパシティには限界があります。全てを一人で抱え込めば、当然、判断も行動も遅くなります。
本当に優秀な2代目社長は、自分の弱さを自覚し、社員に上手に頼ることができます。「任せる」こともまた、重要な経営判断なのです。

「判断力・行動力」を劇的に高める2つのトレーニング

では、どうすればこの「判断力・行動力」を養うことができるのでしょうか?
実は、これは才能ではなく、日々のトレーニングで鍛えることができます。特におすすめの方法を2つご紹介します。

① モノの整理(5S活動)

整頓された美しいデスク

一つ目は、身の回りの徹底的な「整理」です。

整理とは、単に片付けることではなく、「要るモノと要らないモノを分け、要らないモノを徹底的に捨てること」と定義されます。

実は、「捨てる」という行為は、「これは必要か?不要か?」という「決断」の連続です。
デスク周りや職場から不要なモノを捨て、必要なモノだけを残していくプロセスを通じて、脳は「優先順位をつける訓練」を繰り返すことになります。

環境が整理されると、頭の中のノイズも減り、思考がクリアになります。
「何をすべきか」「何をやめるべきか」が明確になり、ビジネスにおける決断スピードも自然と上がっていきます。

判断力が鈍っていると感じたら、まずはデスクの上、カバンの中、オフィスの倉庫から整理を始めてみてください。必ず「見える世界」が変わります。

👉 デスク整理できない人は仕事できない?5Sプロ直伝!棚・引出し・書類の整理整頓術

② 瞑想(マインドフルネス)

瞑想をする男性経営者

もう一つ、多くの成果を出している経営者に推奨しているのが「瞑想」です。
GoogleやAppleなど、世界的な先進企業が研修に取り入れていることでも知られています。

瞑想には以下のメリットがあります。

  • ストレスの軽減
  • 集中力・意思決定能力の向上
  • 感情コントロール力の向上

先ほどの「整理」が物理的な片付けなら、瞑想は「心の整理」です。
心の中に溜まった「不安」「雑念」「不要なプライド」を捨てていく作業です。

毎朝数分、静かな場所で深呼吸をして自分の心と向き合う。
これだけで、不要な感情が削ぎ落とされ、経営者に必要な「冷静な判断力」が研ぎ澄まされます。
実際に取り組まれた経営者の方からは、「イライラしなくなった」「優先順位がクリアになった」という声を多くいただいています。

まとめ:組織を変える第一歩は「捨てる」ことから

2代目社長が陥りがちな「判断・行動の遅れ」。
これを克服するために効果的なのが、「モノの整理」「心の整理(瞑想)」です。

特に「モノの整理」=5S活動は、社長個人のトレーニングになるだけでなく、組織全体の意識改革に直結します。
不要なモノを取り除き、規律ある環境を作ることは、社員一人ひとりの「判断力」を養い、自律的に動く組織風土を作ります。

「社員が動いてくれない」「会社の古い体質を変えたい」
そう悩んでいる2代目経営者の方こそ、まずは足元の「整理(5S)」から始めてみてください。

弊社スマイルシステムサポートでは、単なる片付けではない、「経営改革としての5S活動」をサポートしています。
判断力と行動力を備えた強い組織を作りたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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  • この記事を書いた人

上石 政代(Smile System Support 代表)

5S活動の社内定着を支援するコンサルタント・講師。
これまでに医療・介護・製造業などの現場でのべ1000名以上に研修・講演を実施し、5Sを“現場文化として根づかせる”実践支援を行っている。
現在までに、5Sによる組織風土改善支援に携わった企業は100社を超える。
Smile System Support代表・上石政代について

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