5S活動を続けていると、最初のうちは成果が見えても、しばらくすると「やりっぱなし」で元に戻ってしまう…そんな悩みはよく聞かれます。
そこで大切なのが 定期的な振り返り。
毎月の振り返りでは報告書フォーマットを使って小さな改善を確認し、半年ごとの大きな振り返りではKPT法を取り入れることで、新しい気づきを得て次のステップへ進めます。
この記事では「5S振り返りのやり方」を、報告書とKPTそれぞれの活用方法や具体例とあわせて解説します。
もくじ
5Sはなぜ振り返りが必要なのか
5S活動は、一度やって終わりではなく「継続」が前提です。
しかし振り返りを怠ると、せっかく整えた職場もすぐに元の状態へと逆戻りしてしまいます。
振り返りがないと形骸化する
- 見た目だけの整理整頓に終わり、「やらされ感」になって長続きしない。
- 問題が起きても改善のサイクルに乗らず、同じミスや不具合が繰り返される。
反省点や報告を共有する意味
- 毎月の活動報告書や小集団での報告の場を通じ、うまくいった点・反省点を共有する。
- 成功事例は他部署への刺激になり、失敗事例も学びとして活かせる。
振り返りはモチベーション維持の仕組み
- 「前回取り組んだことが達成できたか」を皆で確認することで、小さな達成感を積み重ねられる。
- 報告や反省が個人批判でなく「仕組みを改善する視点」で行われると、前向きな改善風土が定着する。
つまり、振り返りは単なる反省会ではなく、 5Sを“定着”させ、“進化”させるための仕組みなのです。
毎月の振り返り(小サイクルPDCA)
5S活動は「やりっぱなし」ではすぐに元に戻ってしまいます。
だからこそ、毎月の振り返りを定例化することが大切です。
習慣化のために必要
毎月というリズムを決めておけば、「今月やったことを確認する」という習慣が自然に根付きます。
やりっぱなしを防ぐ
実施した改善をその都度検証しないと、成果があったのか、なかったのかわからないまま流れてしまいます。
振り返りを重ねることで、初めて次のステップへ進めます。
見方や気づきが変化する
続けていると、最初は気づかなかった小さな変化や、改善のヒントに気づけるようになります。
毎月の振り返りは、現場の視点を育て、気づく力を伸ばす効果があります。
このように「毎月の振り返り」は、5S活動を定着させるための小さなPDCAサイクルであり、前に進むための仕組みになります。
5S活動報告書(レポート)フォーマットの活用
毎月の振り返りを効果的に行うには、共通の報告書フォーマット(活動レポート)を使うのが一番です。
形式を決めておけば誰でも簡単にまとめられ、データを蓄積して比較することができます。
実際のフォーマット例を見てみましょう。
報告書フォーマットに入れるべき基本項目
- 改善内容:何をテーマに取り組んだか
- 活動日時・人数・時間:参加者と作業時間を記録
- ビフォー/アフター写真:写真は必ず撮影し、改善効果を一目で確認できるようにする
- 問題点:改善前にどんな課題があったか
- 改善策:問題に対して具体的にどう改善したか
- 改善結果:改善後どのようなの変化があったか
- 数値的効果:出来る限り成果を数値化する
- 費用・ゴミ量:コストゼロや廃棄量削減も立派な成果
報告書フォーマット活用のメリット
- 継続の仕組み化:
定期的に「活動報告書(レポート)」を作り、発表することで活動が途切れにくくなります。やったことを形に残すことで、次の改善の土台になります。 - 進捗の見える化とモチベ維持:
写真や数値で成果を共有すると、現場のメンバーに達成感が生まれ、活動への意欲が続きます。
さらに、1年分の報告書を振り返ると「こんなに変わったのか」と進化を実感できるため、活動を続ける大きな励みになります。 - 方向性の確認:
報告書を毎月まとめることで、会社のビジョンやスローガンと結びつけながら進められ、形骸化を防げます。
KPT法を使った大きな振り返り(半年に1回など)
毎月の振り返りは小さな改善を積み重ねるのに有効ですが、半年に一度や年次で「大きな振り返り」を行うことも重要です。
このとき役立つのが KPT(ケプト)法です。
KPTとは?
- Keep(続けること):定着した良い習慣や仕組み
- Problem(問題点):まだうまくいっていない点や課題
- Try(次に試すこと):これから挑戦する改善テーマ
シンプルな3区分なので、誰でも参加しやすく、5Sの「定期的に見直す文化」と相性が良いフレームワークです。
5S振り返りにKPTを使うメリット
- 視点が広がる:半年間の活動を俯瞰でき、日常では見逃しがちな課題を発見できる。
- 前向きになれる:「問題点」だけでなく「続けたいこと」も共有するため、反省会で終わらない。
- 次期テーマが決まる:Tryを設定することで、翌期の重点目標に自然につながる。
注意点(デメリットと誤解)
- 「意味ない」と感じやすい落とし穴:Tryを具体的な行動に落とさないと形骸化しやすい。
- 課題が出ない時の工夫:「思いつかない」ときは、5Sの5つのSごとに質問を投げかけると意見が出やすい。
(例:「整理で一番困っていることは?」/「清掃で改善したい場所は?」など)
5SをKPT法で振り返る進め方
KPTを使った振り返りは、単に「反省点を出す場」ではなく、全員で改善意識を共有し、次の行動に結びつける場です。
1. 準備
参加者:必ずチーム全員で行うこと(1人だけでは効果が薄い)
ツール:模造紙やホワイトボード、付箋、マーカー
模造紙を「K」「P」「T」の3エリアに区切っておきましょう。
2. Keep(良かったこと・継続したいこと)
各自が「今回の5S活動で良かったこと」を付箋に書き出す。
1案につき1枚で書き、他人の意見に流されないようまずは個人作業で進める。
例
- 「工具の定位置表示を変えたら、探す時間が減った。」
- 「清掃チェックリストを作ったら、毎日の掃除が習慣化できた。」
- 「不要品の処分で倉庫にスペースができ、在庫の出し入れがスムーズになった。」
書き終えたら「K」のエリアに順番に貼り出し、同じ意見はまとめる。
3. Problem(問題点・改善点)
各自が「うまくいかなかったこと」「反省点」「改善すべき点」を書き出す。
KeepやTryのことで思いついたアイデアもあれば、それぞれ別の付箋に記録しておく。
例
- 「定位置に戻さない社員がいて、探し物が発生した。」
- 「ゴミ分別ルールが共有されておらず、廃棄物が混在した。」
- 「整理した備品が、いつの間にか元の棚に戻ってしまった。 」
共有しながら「P」のエリアに貼り出し、全体で確認する。
4. Try(改善策・次に挑戦したいこと)
「Problemへの解決策」や「Keepをさらに良くする工夫」を具体的に書く。
付箋を「T」のエリアに貼り出し、共有しながら議論しする。
例
- 「定位置に戻せない原因を調べ、ラベルを大きくして誰でも分かるようにする。」
- 「ゴミ分別ルールを写真付きで掲示し、誰でも守れる仕組みに改善する。」
- 「備品整理の担当者をローテーション制にし、戻し忘れを防止する。」
続けて、実際に取り組むものを選定し、選んだ改善案には「誰が」「いつまでに」取り組むかを必ず決める。
5. 定例化と継続
KPTは一度だけでは効果が見えにくく、定期的に繰り返すことが大事です。
最初は意見が少なくても、回数を重ねるほど気づきは増えていきます。
半年に一度や年に一度など、無理のないペースで続けることで、5Sが自然に根づいていきます。
まとめ
5S活動を長く続けるためには、振り返りの仕組みが欠かせません。
- 毎月の小さな振り返りは、報告書フォーマットや簡単なレポートを活用して改善を習慣化し、確実に定着させる。
- 半年や年次の大きな振り返りでは、KPT法を使って新しい気づきを引き出し、次のステップにつなげる。
つまり、振り返りは「反省会」ではなく、現場を前に進めるエンジンです。
定期的に行い、形に残し、次につなげることで、5Sは形骸化せず進化し続けます。